退職・転職判断2026-08-03監修:山根一城(株式会社ポテンシャライト)

警備員を辞めたいと感じたら|辞め時の見極め方と円満退職の進め方

この記事の要点

「もう潮時なんですかね……」ある夜勤明けの面談で、勤続3年目の警備員の方からそう聞かれたことがあります。

結論から言うと、「辞めたい」という気持ちそのものは判断材料にはなりません。大事なのは、その気持ちがどこから来ているのかを切り分けることだと僕は考えています。原因が会社にあるのか、配属先の現場にあるのか、それとも自分自身のキャリアの節目にあるのかで、取るべき行動もタイミングもまったく変わってきます。

0. 結論:辞めたいと感じたら、まず「原因の種類」を切り分ける

先に僕の考えを述べておきます。施設警備の仕事を辞めるかどうかを決める前に、①会社要因、②現場要因、③自分要因の3つに気持ちを分解してみてください。会社を変えれば解決する話なのか、配置転換で解決する話なのか、それとも警備という仕事自体から次のステージに進むタイミングなのか。ここを曖昧にしたまま辞めてしまうと、転職先でも同じ壁にぶつかることが少なくありません。実際、僕が面談してきた方の中にも、原因を突き止めないまま同業他社に移り、数か月でまた同じ不満を口にしていた方が何人かいました。

1. 「辞めたい」には3つのパターンがある

僕がこれまで面談してきた中で、辞めたいという相談は大きく3つのパターンに分かれると感じています。パターンを見誤ると、転職しても同じ悩みを繰り返すことになりかねません。

1-1. 会社要因

給与の遅配、シフトの一方的な変更、研修や教育がほぼないまま現場に出される、といった会社側の運用に原因があるケースです。以前、ある常駐先で働いていた方から「入社初日にほぼ何も教えられず、いきなり一人で受付に立たされた」という話を聞いたことがあります。この場合、警備の仕事そのものが合わないわけではなく、勤め先の体制に問題があることが多いと感じています。対処法としては、まず同じ会社の別現場への異動を打診し、それでも改善しなければ同業他社への転職を検討するという順番が現実的です。

1-2. 現場要因

配属先の常駐先の担当者との相性、深夜の一人勤務が続く配置、クレーム対応が集中する現場など、特定の現場との相性で疲弊しているケースです。会社そのものへの不満ではなく、たまたま配属された現場の巡り合わせが悪いだけということも多く、配置転換の相談をするだけで解決することも珍しくありません。まずは隊長や現場責任者に「別の現場も経験してみたい」と伝えるだけでも、状況が動くことがあります。

1-3. 自分要因

体力面での限界、家庭の事情での勤務時間の制約、もしくは検定資格を取り終えて次のキャリアに進みたいという前向きな理由まで、自分自身の状況変化によるものです。これは会社を変えても解決しないタイプの「辞めどき」だと考えています。この場合は転職先を探す前に、まず「日勤中心の働き方に変えたいのか」「警備という職種自体を離れたいのか」を自分の中で言語化しておくと、次の選択がぶれにくくなります。

パターン主な原因まず検討すべきこと
会社要因給与遅配・シフト強制・教育不足同業他社への転職
現場要因配属先との相性・偏った配置社内での配置転換相談
自分要因体力・家庭事情・キャリアの節目働き方や職種自体の見直し

2. 辞め時を見極める3つの判断軸

原因を切り分けたら、次は「いつ動くか」です。僕は次の3つの軸で考えることをお勧めしています。

2-1. 契約更新月と繁忙期を避ける

施設警備は常駐先との契約更新のタイミングがあり、多くの現場では半期や年度の切り替え時期に人員配置が見直されます。年末年始や年度末の繁忙期に退職を申し出ると、後任の確保が難しく引き継ぎが雑になりがちです。契約更新の1〜2か月前に意思表示をするのが、僕の体感では最もトラブルが少ないタイミングです。ある現場では、繁忙期直前の申し出により後任が見つからず、本人の希望より2週間長く勤務が延びたということもありました。

2-2. 資格取得・研修修了のタイミングを待つ

検定資格の取得や現任教育の受講を控えている場合は、それを終えてから動くことをお勧めします。資格は勤務先を通じて受験手続きをするケースが多く、途中で退職すると受験自体ができなくなることがあるためです。資格を取り切ってから転職活動に入った方が、次の職場での給与交渉の材料にもなります。

2-3. 在職中に転職活動を進める

先に退職してから探すのと、在職中に探すのとでは、面接での見え方が変わります。「なぜ辞めたのか」を聞かれたときに、次の職場が決まっている状態で答えるのと、無職の状態で答えるのとでは、採用担当者の受け取り方に差が出ると感じています。可能な限り在職中に動くことを僕はお勧めしています。

3. 円満退職の進め方:実務ステップと所要時間の目安

施設警備の現場は、常駐先との契約や配置人数が法令上決められているため、一般の職種以上に引き継ぎの丁寧さが問われます。僕が見てきた中で、円満に辞められている方はおおむね次の順番で動いています。

  1. 就業規則の退職予告期間を確認する(所要目安30分、多くは1か月前だが契約書で異なる場合がある)
  2. 直属の隊長・現場責任者に先に口頭で意思を伝える(所要目安15分の面談)
  3. 退職願を提出し、退職日を書面で確定させる(提出から確定まで数日〜1週間程度)
  4. 制服・入退館証・鍵など貸与物のリストを自分でも作成しておく(所要目安1時間)
  5. 引き継ぎ資料(現場のクセ・注意点・緊急連絡先)を後任に渡す(作成に半日〜1日程度)

特に4番目の貸与物の返却漏れは、退職後のトラブルとしてよくある話です。備品リストは会社任せにせず、自分の手元にも控えを残しておくことをお勧めします。なお、会社との関係がこじれていてどうしても直接申し出づらい場合に退職代行を使う方も増えてきましたが、施設警備は貸与物の返却や引き継ぎが多い職種のため、可能であれば自分で最低限のやり取りを済ませてから利用を検討する方が、後々のトラブルは少ないと感じています。

4. よくある失敗と、その対処法

実際の相談の中から、僕が印象に残っている3つのケースを紹介します。どれも珍しい話ではなく、施設警備の現場では起こりやすい失敗だと感じています。

ケース1:繁忙期に退職を申し出て、引き継ぎが雑になった

年度末の契約更新直前に退職を申し出た方がいました。後任の採用が間に合わず、結果として本人が予定より2週間長く勤務することになり、しかも引き継ぎ資料を作る時間が取れないまま現場を離れることになりました。契約更新月の1〜2か月前に申し出るという判断軸を守っていれば避けられたケースだと思います。

ケース2:現場要因なのに、会社そのものを辞めてしまった

特定の常駐先の担当者との相性が原因で「もう限界です」と退職を決めた方がいました。話を聞いてみると、会社の体制自体には特に不満がなく、配置転換を相談すれば解決した可能性が高いケースでした。原因の切り分けをせずに大きな決断をしてしまうと、後から「配置転換でよかったのでは」と振り返ることになりがちです。

ケース3:資格取得の直前に退職して、受験機会を逃した

検定資格の受験申込みが間近だったにもかかわらず、先に退職を決めてしまった方もいました。多くの検定資格は勤務先を通じた手続きが必要なため、退職後は自費・自力での再受験になり、時間も費用も余分にかかってしまいました。資格取得や研修修了のタイミングを待つという判断軸は、この意味でも重要です。

こうした失敗の多くは、退職を決める前に一呼吸置いて「原因の切り分け」と「タイミングの確認」をセットで行っていれば防げたものだと僕は感じています。

5. 辞めた経験・資格は、次のキャリアにどう活きるか

厚生労働省の「雇用動向調査」では、警備業を含む対人サービス系の職種は、製造業などと比べて離職率がやや高めに出る年が多いという傾向があります。ただし、これは「警備の仕事が続かない」ということではなく、常駐先の契約更新や配置替えのタイミングで職場を移る人が一定数いる、という業界特有の動きによるものだと僕は理解しています。

僕がこれまで見てきた体感値で言うと、常駐警備に配属されてから1年以内に転職や配置転換を考える人はおおよそ3割前後という肌感があります(これは僕が面談してきた対象者の中での割合であり、公的統計とは別の現場観測です)。一方で、原因を切り分けたうえで契約更新月に合わせて計画的に動いた方は、同じ1年以内でも次の職場に落ち着いて長く定着する傾向があると僕は感じています。それでも、そこで取得した検定資格や現場対応の経験は、次の職場でそのまま評価されることがほとんどです。

辞めることは後退ではなく、資格と経験を持って次の現場を選び直すことだと僕は考えています。

6.(結論)

「辞めたい」という気持ちが出てきたら、まず原因を会社・現場・自分の3つに切り分けてみてください。そのうえで、契約更新月や資格取得のタイミングを見ながら、可能な限り在職中に次を探す。よくある失敗の多くは、このタイミングの見極めを飛ばしてしまうことから起きています。これが、僕がこれまでの面談で見てきた中で、後悔の少ない辞め方だと感じています。皆さんいかがでしたでしょうか。では今日もがんばりましょう。

よくある質問

Q. 警備員を辞めたいと思ったら、まず何をすればいいですか?

まずは「辞めたい」と感じる原因が会社要因・現場要因・自分要因のどれに当てはまるかを切り分けることが先決です。会社の体制が原因なら同業他社への転職、現場との相性が原因なら社内での配置転換相談、体力や家庭事情など自分自身の変化が原因なら働き方や職種そのものの見直しが、それぞれ有効な対処になります。

Q. 退職を申し出るのに良いタイミングはありますか?

契約更新月の1〜2か月前が、引き継ぎトラブルが少ないタイミングだと僕は感じています。年末年始や年度末など常駐先の繁忙期に申し出ると後任の確保が難しくなりやすいため、検定資格や現任教育の受講を終えたタイミングと合わせて調整することをお勧めします。

Q. 施設警備を辞めた経験や資格は、転職で評価されますか?

検定資格や巡回・クレーム対応の実務経験は、同業他社や設備管理職への転職で即戦力として評価されやすい傾向があります。常駐配属から1年以内に転職や配置転換を考える人は体感で3割前後おり、業界内では珍しいことではないため、経験を次のキャリアの材料として活かす発想が有効だと考えています。

監修:山根 一城(株式会社ポテンシャライト 代表)

IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等は独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。

この記事を、eBookで持ち帰る。 本記事をスライド形式のPDF(16:9・全13ページ)に再構成しました。お名前とメールのご登録だけで、その場でダウンロードできます。
無料でPDFを受け取る →

自分の現在地を、まず知る。

「セキュリティクエスト 適性診断」(無料)で、いま狙える職域タイプが分かります。個別に相談したい方はキャリア面談へ。

適性診断をやってみる → キャリア面談をする →

あわせて読む

仕事のモヤモヤ、AIに話してみませんか

安定と物足りなさのあいだで迷うこと、そのまま話して構いません。
「キャリアのたね」は、対話しながら引っかかりを整理して、あなたの強みを言葉にしていくサービスです。

話しはじめてみる(無料)

登録不要・無料。求人の紹介から始めることはしません。運営:ポテンシャライト