警備業界の基礎知識2026-08-10監修:山根一城(株式会社ポテンシャライト)

警備員になるには|警備業法の欠格事由と必要書類、入社までの流れ

この記事の要点

「え、住民票って本籍地入りのやつですか?普通のじゃダメなんですか」。面接に来てくれた方から、僕はこの質問を数えきれないほど受けてきました。

結論から先に言うと、警備員になるための書類は、一般的なアルバイトや事務職の転職活動より一段階ハードルが高いと僕は考えています。理由はシンプルで、警備業法という法律が「警備員になってはいけない人の条件(欠格事由)」を明確に定めており、警備会社はそれを確認する義務を負っているからです。飲食店やコンビニの面接であれば、履歴書一枚と面接の受け答えだけで採用が決まることも珍しくありません。ですが警備業では、書類審査そのものが採用プロセスの一部として組み込まれています。この記事では、警備業法が求める欠格事由の中身、実際に提出する書類、審査にかかる期間の目安、そしてシニアや未経験の方がつまずきやすいポイントを、僕が採用の現場で見てきた実感を交えてお伝えします。

0. 「書類、そんなに要るんですか」と驚かれる理由

警備員は、防犯・防災という公共性の高い仕事を、制服を着て、時には交通を止めるような権限を伴って行います。だからこそ法律は、警備員になる人の適格性を事前にチェックする仕組みを用意しています。これが警備業法14条の「欠格事由」です。僕が採用の現場に立っていた頃、この説明を面接の冒頭でしっかり伝えるかどうかで、その後の書類提出のスピードがまったく違いました。「なぜこの書類が必要なのか」を理解している人は、取得も早いですし、途中で不安になって連絡が途絶えることも少ないという印象があります。逆に、説明を省いてしまうと「そこまで個人情報を出さないといけないのか」と警戒されてしまい、住民票の提出だけで1週間以上音信不通になってしまった、という場面も僕は何度か経験しています。

1. 警備業法が定める欠格事由の全体像

警備業法14条は、警備員になれない人の条件をいくつか列挙しています。代表的なものを整理すると、次のようになります。

僕の体感では、実際の応募者でこれらに明確に該当するケースはそう多くありません。ただし、若い頃に何らかの前科があり「執行を終えてから5年」という数え方があいまいなまま面接に来る方や、身内に暴力団関係者がいて誓約書にサインすることをためらう方には、これまで何人もお会いしてきました。該当するかどうか自己判断がつかない場合は、正直に採用担当者へ相談するほうが、内定が出た後に取り消しになるよりずっと傷が浅く済みます。実際、僕が知る限りでも、正直に事情を話した方はきちんと個別判断をしてもらえたケースがほとんどでした。

2. 入社時に必要になる書類一覧

欠格事由の確認と、警備業法が求める本人確認のために、警備会社の入社時には次のような書類を求められるのが一般的です。

書類名何を確認するためのものか取得先・取得目安
本籍地記載の住民票(マイナンバー無し)本人確認、欠格事由の照会本籍地の市区町村窓口。郵送だと3〜5営業日程度みておくと安心
誓約書(暴力団排除等に関する誓約)暴力団員でないことの表明会社指定の様式にその場で記入
健康診断書心身の状態が業務に適するかの確認指定医療機関、または既存の健診結果の流用可の会社も
履歴書・職務経歴書基本的な経歴確認自作
顔写真身分証・資格者証の発行用証明写真機、または写真店
資格合格証明書のコピー(該当者のみ)検定資格保有の確認、資格手当の算定取得済みの証明書を用意

このうち、多くの応募者が「初めて知った」と驚くのが本籍地記載の住民票です。普段の生活では本籍地入りの住民票を取る機会がほとんどないため、実家が遠方にある方や、本籍地を移した記憶があいまいな方は、取得だけで数日かかることがあります。窓口で取得すれば即日発行されることが多いのですが、郵送請求だと申請書の記入から返送まで含めて3〜5営業日、遠方かつ土日をまたぐ場合は1週間近くかかることも珍しくありません。転職活動を始める段階で、一度自分の本籍地を確認しておくと、後の手続きがぐっとスムーズになります。なお、検定資格を持っていない未経験の方は、この欄は空欄で問題ありません。資格は入社後に取得を勧められることが多く、必須条件ではないケースがほとんどです。会社によっては身元保証書の提出を追加で求めるところもあるので、応募先の募集要項や採用担当者への確認は早めにしておくとよいでしょう。

3. 審査期間はどれくらいか、入社が遅れる代表パターン

僕の体感値になりますが、書類がすべて揃っている状態であれば、書類提出から採用決定まで1〜2週間程度で進むケースが多いです。事務職の一般的な選考期間(書類選考と面接を合わせて2〜3週間程度と言われることが多い業界です)と比べると、書類さえ揃えば決して長くはありません。ただし、次のようなパターンで入社が延びることがあります。

3-1. 大手と中小、審査スピードの傾向の違い

大手の警備会社ほど書類の様式や確認フローが標準化されているため、審査は比較的スムーズに進む傾向があります。僕が関わってきた大手企業では、書類受理から内定連絡まで平均して5営業日前後というところが多かった印象です。一方、中小の会社では採用担当者が現場業務と兼任で動いていることが多く、書類の受け渡しや確認に時間がかかる、という違いも僕はこれまで見てきました。中小の場合、担当者が現場に出ている日は書類確認が翌日以降に回ってしまい、結果的に10日前後かかることも珍しくありません。どちらが良い悪いという話ではなく、会社の規模や体制によって審査スピードの傾向が変わる、という前提を持っておくと、入社時期の見通しが立てやすくなります。転職活動中で今の仕事の退職時期を調整する必要がある方は、この点を採用担当者に率直に聞いてしまうのが一番早いです。

3-2. 実際にあった、住民票トラブルのケース

以前、58歳で警備業界に転職しようとしていた方から、こんな相談を受けたことがあります。本籍地が学生時代に住んでいた土地のままになっており、しかも数十年前に住所表記が変わっていたため、窓口で「該当する住民票が見当たらない」と言われてしまったそうです。結局、本籍地の変遷を戸籍の附票までさかのぼって確認する必要があり、通常であれば3〜5営業日で済むところが、2週間近くかかってしまいました。幸い、採用担当者に早めに事情を伝えていたおかげで内定自体は待ってもらえましたが、これが提出期限ぎりぎりのタイミングだったら、入社日そのものがずれ込んでいたはずです。本籍地は、住民票の住所と違って自分では意識しにくい情報なので、思い当たる節がある方は転職活動の初期段階で一度確認しておくことを僕は強くおすすめしています。

4. シニア・未経験者が引っかかりやすい落とし穴

シニア層の応募者に多いのが、健康診断書の項目です。警備業務、特に交通誘導や常駐警備は立ち仕事や屋外業務が中心になるため、血圧や視力の基準を設けている会社があります。持病がある場合は、隠さずに事前に相談することをおすすめします。多くの会社は「業務に支障がない範囲かどうか」を個別に判断してくれますし、僕が見てきた中でも、事前相談をした方のほうが結果的にスムーズに配属先が決まっています。実際にあった例では、60代前半の応募者が高血圧の薬を服用中であることを面接時点で伝えたところ、屋内中心の常駐警備の現場を優先的に紹介してもらえ、結果的に本人の希望にも合う配属になりました。逆に、健診結果を提出する段階になって初めて持病を伝えた方は、配属先の再調整で1〜2週間ほど余計に時間がかかったケースもありました。

未経験の若い方にありがちなのは、誓約書の内容をよく読まずにサインしてしまい、後になって「この項目、自分は当てはまるかもしれない」と不安になるケースです。誓約書は形式的な書類ではなく、警備業法上の義務を会社が果たすための重要な書類です。少しでも疑問があれば、サインする前にその場で確認する習慣をつけておきましょう。

5. 書類準備で失敗しないための、今日からできる3つの行動

ここまでの内容を踏まえて、僕がいつも転職相談の場でお伝えしている、具体的な準備行動を3つ挙げます。

  1. まず自分の本籍地を確認する。運転免許証の裏面や、実家に保管されている戸籍関連の書類で確認できます。本籍地が現住所と異なる場合は、取得方法(窓口か郵送か)を先に調べておくと安心です。窓口なら即日、郵送なら3〜5営業日を目安に、余裕をもって動きましょう。
  2. 持病や過去の経歴で気になる点があれば、応募前にメモにまとめておく。面接や書類提出の段階で聞かれたときに、正直かつ簡潔に説明できるようにしておくと印象が良くなります。
  3. 本籍地記載の住民票は、応募が決まってから動くのではなく、転職活動を始めたタイミングで一度取得しておく。有効期限内であれば使い回せる会社も多く、後々の手間が減ります。

警備の仕事は、検定資格や現場経験によってキャリアが積み上がっていく世界です。ですが、その一歩目にあるのは、こうした地道な書類の準備だったりします。面倒に感じるかもしれませんが、これは「あなたが安心して現場に立てる人物かどうか」を確認するための、警備業界なりの誠実な手続きだと僕は捉えています。

(結論)

警備員になるための書類は、他業種の転職活動より確かに一手間多いです。ですが、その中身は警備業法14条が定める欠格事由の確認と、本人確認のための最低限のものであり、正しく準備すれば決して高いハードルではありません。本籍地記載の住民票を早めに取得し、気になる点は正直に相談する。それだけで、入社までの流れはぐっとスムーズになります。皆さんいかがでしたでしょうか。では今日もがんばりましょう。

よくある質問

Q. 警備員になれない人はどんな人ですか?

警備業法14条が定める欠格事由に該当する人で、具体的には破産手続き中で復権していない人、禁錮以上の刑を受けてから5年を経過していない人、暴力団員またはその関係者、心身の障害により警備業務を適正に行えないと認められる人などです。この基準は全国どの警備会社でも共通で、面接ではなく書類・確認の段階でチェックされます。該当するか不安な場合は、応募前や面接時に正直に相談するのが結果的に一番早い解決策です。

Q. 入社時にはどんな書類が必要ですか?

一般的には履歴書、本籍地が記載された住民票、暴力団排除等に関する誓約書、健康診断書、顔写真の5点が基本セットです。検定資格を持っている場合はその合格証明書のコピーも求められますが、未経験の方は空欄で問題ありません。会社によっては身元保証書を追加で求めるところもあるため、募集要項や採用担当者への事前確認をおすすめします。

Q. 書類提出から入社まではどれくらいかかりますか?

体感値になりますが、書類がすべて揃っていれば1〜2週間程度で採用決定に至るケースが多いです。ただし本籍地記載の住民票を取り寄せるのに時間がかかったり、欠格事由の確認に追加の照会が必要になったりすると、さらに1週間ほど延びることもあります。大手と中小でも審査フローの標準化度合いにより速度感が変わります。

監修:山根 一城(株式会社ポテンシャライト 代表)

IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等は独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。

この記事を、eBookで持ち帰る。 本記事をスライド形式のPDF(16:9・全13ページ)に再構成しました。お名前とメールのご登録だけで、その場でダウンロードできます。
無料でPDFを受け取る →

自分の現在地を、まず知る。

「セキュリティクエスト 適性診断」(無料)で、いま狙える職域タイプが分かります。個別に相談したい方はキャリア面談へ。

適性診断をやってみる → キャリア面談をする →

あわせて読む

仕事のモヤモヤ、AIに話してみませんか

安定と物足りなさのあいだで迷うこと、そのまま話して構いません。
「キャリアのたね」は、対話しながら引っかかりを整理して、あなたの強みを言葉にしていくサービスです。

話しはじめてみる(無料)

登録不要・無料。求人の紹介から始めることはしません。運営:ポテンシャライト